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手軽に糖質制限!?

大注目の物質「ケトン体」の
研究者を訪ねる!

オー太とジー子の現場突撃訪問

オー太とジー子

掲載日:2020.09.04

エネルギー技術研究所 バイオ・ケミカルチーム 西村 拓

エネルギー技術研究所 バイオ・ケミカルチーム 盤若 明日香

エネルギー技術研究所 シニアリサーチャー 坪田 潤

オー太 知的好奇心旺盛でエネルギッシュ。素直な性格の純真ワンコ。

ジー子 面倒くさいことが嫌い。行動が省エネ化しているエコネコ。

今話題の「体にいい」物質、
ケトン体とは!?

オー太

ジー子さん、ちょっと元気がないみたいですね。

ジー子

最近運動不足で太り気味やねん。

オー太

今日はそんなジー子さんに、希望を与えてくれるお話が聞けるそうですよ。

オー太君、ジー子ちゃん、こんにちは。早速ですが、「ケトン体」って知っていますか?
ジー子

ケトン体? そんなん聞いたこともあれへんわ。

坪田さん

そうですよね。人は通常、糖質をエネルギー源として使っています。では、絶食や糖質制限により糖質が使えない時はどうなるかというと、代わりに体内の脂肪を分解し、ある物質に変換して消費するんです。その物質が「ケトン体」です。

オー太とジー子
オー太

つまり、脂肪から作り出される物質が、ケトン体ということですか?

坪田さん

その通り。ケトン体は、そもそも人間の体内に存在しているものなんです。しかも、脂肪を消費するというだけでなく、実はケトン体が健康に良い効果を発揮するということで、アメリカを中心に注目が高まっているんです。

ジー子

健康にええってどおゆうこと!? うち、すごい興味あるわ。

坪田さん

それはよかった。では、研究員の二人から詳しく説明させてもらいますね。

ケトン体を安心な発酵法で製造する
大阪ガスの画期的技術!?

西村さん

ケトン体は、糖質の代わりになるだけでなく、様々な生理機能を有する糖質よりも優れたエネルギー源であるということが近年明らかになってきているんです。サプリメントもあるんです。

ジー子

ええことずくめやん。うち、今すぐそれほしいわ。どこにあるん

オー太

ジー子さん、落ち着いて。先ほどのお話でいくと、ケトン体というのは体内で作られるものですよね? サプリメントがあるということは、ケトン体を人工的に作って、外部から摂取できるということなのかな・・・。

盤若さん

はい。たとえばアメリカでは化学的に合成して作られたケトン体が、糖質制限の代わりのサプリメントとして販売されているんですよ。

ジー子

そのケトン体とやらの材料は何なん?

西村さん

現在、アメリカ市場で販売されているケトン体のサプリメントは、ざっくり言うと石油のようなものを原料に化学合成で作られています。

オー太

サプリメントは、体内に入れるものだから自然なもののほうが安心な気が・・・。ケトン体は天然のものからは作れないんですか?

盤若さん

オー太くん、よくぞ聞いてくれました! 何を隠そう大阪ガスは、天然原料からケトン体を大量生産できる技術を確立したんです!

西村さん

製造特許も取っているんですよ!

これが、私たちのつくったケトン体です! これがそうなんですか
オー太とジー子

製造技術の確立過程は、
まさに産みの苦しみ!?

ジー子

なんで大阪ガスがそんなことしてるん? 大阪ガスとは何か結びつかへんけど?

坪田さん

以前からエネルギー技術研究所では、下水や生ごみなどを発酵させてメタンを作り出すバイオガスの研究を行っていたんです。ただ、この研究は適用範囲が限られているので、何かほかに新しい技術や研究テーマを探していました。

ジー子

「発酵」がポイントやったんやな?

坪田さん

そうです。他にもたとえば、微生物で分解可能なバイオポリマーのごみ袋の研究も手がけるなど、発酵に関する技術開発に取り組んできました。そうした研究活動を行う中で、産業技術総合研究所がハロモナス菌のケトン体生成機能を発見したという情報をキャッチし、共同研究を開始したというわけです。

オー太

ハロモナス菌? 初めて耳にしました。

ハロモナス菌は、こんな姿をしています なんや枝豆みたいやな...
西村さん

一般にはほとんど知られていないと思いますが、塩分濃度が高い環境を好んで生活している菌で、キムチや海産物の中でよく見つかります。このハロモナス菌に活躍してもらうことで、ケトン体を発酵法によって生産できる可能性に気づきました。化学合成によるものではなく、発酵法を使って天然原料から作られたケトン体に対する社会のニーズがあると考え、私たちのバイオ関連研究テーマとして、発酵法でのケトン体製造技術開発に取り組むことになったんです。

オー太

大阪ガスが持っていた、優れた発酵技術を活用しようとしたんですね。

盤若さん

そうなんです。ハロモナス菌を使いこなせるよう、発酵技術をこれまで以上に工夫したのはもちろんですが、ハロモナス菌が作り出すケトン体発酵液には、いろいろな不純物が混じっていて・・・。純粋なケトン体へと分離精製するのに、本当に試行錯誤の連続で苦労を重ね、最終的には99%の純度に仕上げることができました!

この発酵装置に、ハロモナス菌やお砂糖などを入れて、ケトン体発酵液を作ります
ジー子

すごいやないの。めでたし、めでたしやんか。

西村さん

いいえ。純粋なケトン体を作り出すのが、私たちのゴールではないんです。ちゃんと市場に出せるように、大量生産できなければ。

オー太

実験室の試験管でケトン体を作るのと、大量生産するのとでは、ずいぶん違うんですか?

盤若さん

全然違います。温度をはじめ、ケトン体をうまく作るための条件がいくつもあって、それを最初は小さな装置で再現し、装置を段階的に大きくしていく地道な作業に追われました。研究室では、最初はケトン体の出来高がわずか数gでしたが、今は1回の製造で数tも製造できるところまで技術開発が進みました。品質を変えずにスケールアップするのは、本当に大変だったんですよ。

ジー子

数gから数t言われても、うまくイメージできんけど。

簡単に言うと、家でカレーを作るのと、給食室の大鍋でカレーを作るようなものです
盤若さん

実際にはもっと差があるのですが…。鍋が大きいので、鍋底のカレーが焦げたり、鍋肌に近いところだけ火が通り過ぎて野菜の形がなくなったりしてはだめで、すべて均一のカレーができあがるよううまく混ぜ合わせなければいけない、といったような具合です。

ジー子

なんやえらいたいへんそうやな。

西村さん

イメージしてもらえましたか! そうやって大量生産する時の「容器の大きさ」「温度」「かくはんする速度と回数」「酸素の濃度」などの条件を実験室で何度も試行錯誤しながら再現し最適なものを探し出しました。今、使用している発酵タンクは縦長なので、上部と下部では発酵液の条件が均一になりにくいんです。例えば上部は酸素濃度が低め、下部は上部の水圧を受けるので酸素濃度も高め。菌の気持ちを理解して、しっかり働いてくれる条件を整えるのはけっこう大変なんです。

オー太

そうした苦労の末、産総研の技術と、大阪ガスが独自に開発した発酵技術・分離技術とが融合して、天然素材のケトン体が大量生産できるようになったということですね。

西村さん

その通りです!

ケトン体を通じて「健康長寿」に
大きく貢献する!?

ジー子

でも、ケトン体をそんなにたくさん作って大丈夫かいな。うち、そんなに飲みきれへんで。

坪田さん

ひとりで無理して飲まなくても大丈夫ですよ(笑)。

私たちはケトン体にいろいろな可能性があると確信しているんです
坪田さん

最初に説明したことに加えて、ケトン体は、今でも様々な研究機関や企業で研究開発が進められていて、その可能性は無限大です。

盤若さん

それに、天然素材のケトン体は、大阪ガスの技術でしか作れません。アメリカではすでにケトン体のブームが到来しているので、日本でも需要が増えてきた時に、しっかり応えられるよう、安定して量産できる体制を確立しておきたいと考えています。

オー太

アメリカではケトン体をサプリメントとして摂取するそうですが、大阪ガスがサプリメントを作って販売するんですか?

西村さん

いえいえ。私たちはあくまでも原料の提供者です。いろいろな会社と協力して、ケトン体を多様なかたちで世に送り出せたら…と考えています。原料としての魅力を高めて、いろいろな会社さんに知ってもらい、パートナーと一緒になって大阪ガスのケトン体をワールドワイドに広めていきたいと考えています。

ジー子

うちが食べやすいかたちにしてもらえたら助かるなー。

オー太

ジー子さんの悩みもケトン体で改善するかもしれませんね。運動と食生活に気を付けることが前提ですけどね。ケトン体が早く普及して、みんながより健康に暮らせる世の中になるといいですね!

西村さん 盤若さん 坪田さん

私たちもそれを願って、頑張っています!

今日はええ話が聞けたわー おおきに ありがとうございました!

ケトン体について

大阪ガスがバイオプロセス(発酵)を用いて大量生産に成功したのは(R)-3-ヒドロキシ酪酸(通称3HBまたはBHB)という種類のケトン体です。

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