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フードサイエンスラボ ~第7号~

抗酸化活性が高いブルーベリーは
どっち?、フルーツの健康効果の
歴史、
リンゴの健康性と美味しさ
レポート、Life in Japan

第7号

FOOD SCIENCE LABORATORY

フードサイエンスラボ

7

Quiz
抗酸化活性が高いブルーベリーはどっち?

写真をクリックしてください

フルーツの健康効果の歴史

フルーツは古来より民間療法として多様な病気に使用されてきました。例えば、紀元3世紀のローマ人はレモンを多くの病気に有効であると考えていたといわれています。その1300年後、実際にビタミンC不足による壊血病がレモン等のかんきつ類を摂取することにより改善されたことは有名な話です。また、現在も魚料理に添えられるレモンは元々、魚の骨がのどに詰まった際にレモン果汁が魚の骨を溶かしてくれると考えられていた古来の料理法の名残という話もあります[1]。

昔の人々は、このように健康と果物の関係に多くの仮説を持ち、いろいろな試行錯誤を繰り返してきました。クイズのブルーベリーも長年スウェーデンでブルーベリーの煮込みスープが子供の胃の不調に良く効くとされ臨床医に使用されてきました[1]。

同じような例では、インドで、同様のベリー類やマンゴーなどを煮込み、砂糖漬けにしたものが、胃や腸の不調に良く効くと言われています[2]。

この二つの話は、まったく別の場所で同じように、昔の人々が少しでも病気を良くしようと試行錯誤が行われた証拠かもしれません。また、実際にフルーツが人間に有用であるということの証拠ともいえるかもしれません。

今回のラボレターはりんごについて取り上げます。ヨーロッパでは古来より万能の薬とされギリシャ神話でも、蜜の味がするりんごが全ての病気を治すと記述されています[1]。現在では血糖値を下げる、糖尿病を抑制するなど科学的・疫学的な結果も示されており、健康にとても良いと実証されつつあります[1]。りんごを料理に使用した場合、どのような健康効果があるのでしょうか?

<参考> [1] ジーン カーパー著 丸元 淑生翻訳 飛鳥新社出版 「食べるクスリ―平凡な食品に秘められた薬効」P332-333,339-342
[2] J. Inder Singh Kalra著 Allied Publishers出版 「Prashad: Cooking with Indian Masters」P178-182

りんごの健康性と美味しさレポート

レストランなどのデザートで出てくる焼きりんご。りんごを焼く場合、一般にオーブンなどが用いられていますが、調理に約50分かかります。家庭で手軽に、例えば、コンログリルなどで、焼きりんごは作れないのでしょうか?
そこで今回のラボレターでは、家庭用のコンログリル(以降、グリル)を用いて焼きりんご調理にチャレンジしてみました! 比較のため、オーブンで調理した焼きりんごとの健康成分ポリフェノール量やおいしさの違いについても測定を行いました。
実際に食する部分のりんご(青森県産サンふじ)のポリフェノール量は生、オーブン調理後、グリル調理後で、有意な差はありませんでした(図1)。しかし、調理の過程中、りんごから液体分がたくさん流出します。それを含めると、加熱調理の効果として、焼きりんごのポリフェノール量は、実際には生のりんごの約1.3倍(図2)。流出分を少なくすることで、ポリフェノール量は大きく増加することがわかりました。
それでは、味にはどのように違いがあるのでしょうか。6人のパネラーの感覚を点数化し、評価を行いました。生・オーブン調理後・グリル調理後の3つのりんごを、例えば、甘いもの順といった具合にランク付けしていきます(図3)。
甘味が強いのはオーブン。官能評価のデータを確認するために、デジタル屈折計(糖度計)でそれぞれの糖度を測定しました。糖度の1%の差で、パネリストは、甘さの違いを感じることができます[3]。表1は、焼きりんごが官能試験の結果を裏付け、より高い糖度を有することを示しています。
酸味はグリルが強く、総合的な味覚としても、グリルの方がやや好まれたようです。香りが強く好まれたのはオーブン、硬さがあり食感が好まれたのはグリル。おいしさの総合評価では、グリルがやや優位との結果のようです。
[3] Harker, F. R. et al., Postharvest Biol. Tec. 2002, 24, 241-250

【オーブン】 丸1個、芯をくり抜いてアルミホイルに包み庫内温度200℃で50分(一般的な調理方法)
【グリル】 1/6にカットし、全てをアルミホイルに包みグリル内に並べ弱火で15分(庫内温度230-280℃)

図1 総ポリフェノール量(可食部)、図2 総ポリフェノール量(可食部+流出分)、図3 官能評価の結果、表1 糖度(スクロース等量%)・重量減少率

短時間で手軽に調理ができ、味のバランスも良いグリルの焼きりんご。
皆さんもご家庭で試されてはいかがでしょうか。

Life in Japan

おいしさ・健康調理ラボラトリーにインターン生として7か月間参加し、調理したフルーツの健康性変化や性質の変化についての研究を行っています。日本で働くことが決まったと聞いた時、緊張と楽しみが入り混じり、複雑な気持ちになったことを覚えています。
もともと日本に興味があったので、大学では日本語クラスを選択していました。日本語は難しく、状況によって話し方が変わるのが、特に複雑だと思います。例えば、敬語や男性・女性言葉、地方によって多岐にわたる方言などです。今でも、英語を使わなければ自分の意見をきちんと説明できないことも…。
来日して半年後、技術フェアのセミナーで、自分の研究説明をする機会をもらいました。最初は、言葉が話せないのにきちんと説明できるかどうか不安でした。家でも練習を行い、日本語を何度も見直して、資料を準備しました。当日は緊張で朝ごはんが食べることができなかったぐらいです。ただ、終わってみると、「母国語とは違う言語で説明がきちんとできた」ということは私にとって、とても大きな自信となりました。

日本でのプライベートは、仕事と同じくらい素晴らしく、感激しています。会社の寮に住んでいますが、はじめは、「みんなで一緒にお風呂に入る」という文化にびっくりしました。ただ、寮の人と仲良くなると、お風呂で、ゆったりとした気持ちでコミュニケーションがとれることに気づき、今ではとてもリラックスできる大好きな時間となっています。休みの日は、電車で色々な場所に行きました。特に歴史的な遺産がある京都がお気に入りですが、道中、驚きを感じたのは電車が時間通りに到着するシステム。また、車両のデザインが様々で、本当に素晴らしい日本の文化だと思います。日本の電車が大好きになりました。
私は日本で本当に素晴らしい時間を過ごしました。
ありがとう、日本のみなさん!

【図】Life in Japan

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正解

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答えはAのフライパンで焼いたブルーベリー

フライパンで焼いたブルーベリーの抗酸化活性は生の1.3倍。論文によると、ブルーベリーを短い時間で加熱調理すれば、熱が細胞膜を弱めるまたは細胞壁を破壊するので、細胞内にある抗酸化物質が外に出やすく体に吸収されやすくなる効果があるようです。
Murphy, E. et al., Int. J. Food. Sci. Nutr. 2009, 60.sup2, 88-98

A フライパンで焼いたブルーベリー

不正解

不正解 不正解

答えはAのフライパンで焼いたブルーベリー

フライパンで焼いたブルーベリーの抗酸化活性は生の1.3倍。論文によると、ブルーベリーを短い時間で加熱調理すれば、熱が細胞膜を弱めるまたは細胞壁を破壊するので、細胞内にある抗酸化物質が外に出やすく体に吸収されやすくなる効果があるようです。
Murphy, E. et al., Int. J. Food. Sci. Nutr. 2009, 60.sup2, 88-98

A フライパンで焼いたブルーベリー