フードサイエンスラボ ~第3号~
第1回
「煮物料理でおいしさを保つ秘訣」、
「おいしく煮るにはどうする!?」
FOOD SCIENCE LABORATORY
フードサイエンスラボ
第3号
おいしさを感じる機会は時代と共に変化しています。ご家庭での食事、レストランなどでの外食だけでなく、学校の給食や病院での入院食、仕事場のなどの食堂で食べる食事、またスーパーやコンビニなどのお惣菜など多様なおいしさに触れることができるのです。
今回は、和食の代名詞でもある大根の煮物を大量に調理したときに、加熱の方式によって、おいしさが異なることについてご説明します!
おいしく煮るにはどうする!?
おいしい煮物の作り方 ~ポイントは「ゆっくり冷ます」~
煮物をおいしく炊くコツは、「ゆっくり冷ますこと」と聞いたことはありませんか? タオルや新聞紙にくるんで冷ましたり、コタツのなかに入れたり。保温ジャーに入れる方法もありますね。節約術として紹介されることもあります。どれも、煮物をじんわりと冷ましていく方法。これには、ちゃんとした科学的な理由があるのです。
①冷えるときにダシを吸収する
食材は、加熱調理の後、冷えるときに緩んだ細胞の間からダシを吸収します。だから、 ‘ダシを吸収する時間’をつくってあげることが大切なのです。
②高い温度ほどよく味を吸収する
食材がダシの味を吸収しやすいのは高い温度。高温を長く保つほど、ダシがよくしみこみます。ゆっくり冷ますのは、この理由によるものです。
③ダシに浸かっている時間
ダシに浸かっている間、食材はダシを吸収し続けます。だからダシに浸かっている時間も調理時間なんです。
煮物は、加熱して軟化させた材料にダシを吸収させ、味をつける調理法。加熱する時はもちろんダシを吸収しますが、火を止めたあともゆっくりと冷ましてダシを吸収しやすくさせ、なおかつ浸けておく時間も長くとることが秘訣です。一晩ねかせた方がおいしくなるというのは、ダシにつかっている時間がそれだけ長くなるからという理由なんですね。
(「食品の保温温度が食塩の拡散に及ぼす影響」 日本調理学会誌 vol.45 No.2 133- 140 (2012))
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