フードサイエンスラボ ~創刊号~
第1回 おいしさは、複合感覚
FOOD SCIENCE LABORATORY
フードサイエンスラボ
第1号
おいしさは、甘味・塩味などの味覚だけでなく、食べ物を噛んだときの食感、さらには、食べ物を口の中に入れたときに鼻に抜ける香り(風味)が関係します。また、視覚もおいしさに大きく影響しています。
おいしそうなチョコレートを食べる際のことを思い出してみてください。目で見て「おいしそう」と感じ、口に含んで甘さを味わい、ふんわりと広がるカカオの香りを楽しみ、舌の上で溶ける食感を堪能しています。
日々の生活の中で、視覚、味覚、触覚(食感)・嗅覚の4つを明確に意識して食事をしているわけではありませんが、実はこれらの感覚は常に働いており、その上で私たちは「おいしい」と感じているのです。また、「おいしい」という感覚は、食事の環境や食文化の背景などによっても、個人差があり、おいしさの計測は簡単ではありません。
柔らかいと甘い!?
糖分の量を同じにして、小麦粉の成分(グルテン)のみを変えて焼いたクッキーの官能評価結果があります。
同じ糖分の量でも、食感が「柔らかいものほど甘い」と感じていることがわかります。
舌の上には味蕾と言われる目に見えないほど小さな器官があり、その味蕾の中に、さらに50~100個の受容細胞(味細胞)があります。この味細胞が甘味を検知します。
味細胞が甘味を十分検知できるまで食品が細かくなる前に、飲み込んでしまうと、その甘さも十分に感じられないというわけなのです。その結果、同じ咀嚼回数で、硬いものと柔らかいものと比較すると、硬いものほど甘さを感じにくくなります。
もちろん、硬さ以外にも、他の味との相互作用(例・すいかに塩など)や温度などが甘味に影響してきますので、味覚の数値化は単純ではありません。
油がないのに油っこい!?
「ピザや天ぷらは油っこい感じだが、油脂量は少ない。一方、マヨネーズやピーナツは油っこい感じは少ないが、油脂量が多い」ことがわかります。
甘味を感じる味細胞はありますが、油を感じる受容器はありません。油の舌触り(油のねばり)や香りなどが、油っこさを感じる要因なのです。これらの要因を利用すれば、油の量が少なくても、こってりした食感を与えることができそうです。
おいしさは体の欲求から
汗をかくと塩分を含んだものが、お腹が減ると甘味やうま味のあるものが欲しくなります。体の欲求に応えることが‘おいしい’と感じる基本のように思われます。
赤ちゃんは、味にとても敏感に反応します。甘味・うま味は「にこやか」な表情を浮かべ、酸味では「すっぱそうな」、苦味では「顔をゆがめる」反応を示すのです。酸味は腐敗物を、苦みは毒物を認識し、体の安全を守ります。しかし酸味・苦味が含まれるコーヒーやビールも、おいしく感じられるようになるのは、美味しく安全であるという経験を繰り返すことで、「コーヒーやビールの苦みや酸味は好ましいもの」との学習が進むからです。
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