Daigasエナジー株式会社 兵庫産業エネルギー営業部
中山 翔太
近年、気候変動の深刻な影響が世界中で顕在化し、温室効果ガスの削減が急務となっています。SDGsに対する関心も年々高まっており、企業活動と環境問題の解決を両立したいと考える企業が増えています。そのようなお客さまに向けた提案を通じて、脱炭素化への挑戦を行っているのが、Daigasエナジー株式会社 兵庫産業エネルギー営業部の中山翔太さんです。
CHAPTER
01
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より具体的に
地球環境に貢献したい
中山さんが環境問題に強い関心を抱き、エネルギーのインフラ企業で働こうと志したのは、大学の工学部で燃料電池の開発を研究していた頃でした。
「私が中学・高校生だった頃、よく本や雑誌で『化石燃料は有限であり、いずれ掘り尽くされてしまう』という記述を目にしていました。それを読み、『使い尽くす前にもっと効率的にエネルギーを使う方法を見つけなければ、深刻なエネルギー不足に陥る』と感じました。大学で燃料電池の研究に進んだのも、その思いがあったからです」
大学に残り研究者になる道もありましたが、中山さんが大阪ガスに入社したのは「その方がより具体的に社会に貢献できる」と感じたからです。
「お客さまのニーズを知らずに、世界をより良いものにする製品やサービスはつくれません。多数のお客さまとともに歩むエネルギーインフラ企業に入社すれば、新たな技術や効率的なエネルギーマネジメントの手法をいち早く世の中に広めることができる。仕事を通じて地球環境に確実に貢献できることが、何よりのやりがいになっています」
CHAPTER
02
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お客さまの
ニーズに応えた
システムを提案
中山さんは現在、様々な企業に向けてお客さまの課題に応じたソリューション提案を行っています。その一つが2019年に操業を開始したQBB六甲バター神戸工場さま(兵庫県神戸市)です。こちらではできるだけ環境への負荷を下げる方法を模索していたものの、工場建設からまだ日も浅く、新たに大きなコストをかけたシステムを導入するのは難しいという課題を抱えていました。そこで中山さんが提案したのが、初期投資が不要の自家消費型太陽光発電サービスD-Solarによる電力供給とガスコージェネレーション(※)を組み合わせるという方法です。
※都市ガスを用いて発電し、その際に発生する排熱を冷暖房や給湯、蒸気などの用途に利用することにより、省エネルギー・省CO2が図れる環境にやさしいシステム。 また、電力ピークカットの運用により、電力負荷平準化にも貢献する。
「食品工場は多数の冷蔵・冷凍庫を常時稼働させるため大量の電力を必要とします。QBB六甲バターさまでは『省エネを図りながら環境対策にも力を入れたい』と希望されていました。そこで当社のD-Solarと、環境性に優れる天然ガスを使って発電するガスコージェネレーションを組み合わせる方法をご提案しました。ガスコージェネレーションシステムが停電時のバックアップシステムとして稼働することで、BCP(事業継続計画)の強化も図れることが他社との競合の中、当社をお選びいただいた決め手となりました」
企業としてSDGsの推進に力は入れたい。しかし大きなコストはかけられない。こうしたニーズが高まることを中山さんはいち早く予想していたと語ります。
「2020年に菅首相が所信表明演説において脱炭素に言及されたのをきっかけに、『脱炭素』への取り組みが急速に注目を集めています。ただ、私の感覚では3年ほど前から、SDGsへの関心の高まりによって、自分たちに何ができるのかを考えているというお客さまが増えてきていたのです。そうした流れの中で、Daigasグループでは、CO2排出量の削減要請や、近年の異常気象による自然災害の増加への対応というお客さまのニーズに応えるため、若手社員が中心となってD-Solarという新サービスを立ち上げたのです」
CHAPTER
03
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D-Solarが拓く
未来への価値
Daigasグループでは現在、QBB六甲バターさまを含め、関西を中心に5社においてD-Solarを導入しています。太陽光発電システムを扱うサービスの中でも、D-Solarの大きな特長として、初期投資ゼロで導入可能な点があります 。
「D-Solarは太陽電池モジュールの設置にかかる初期コストを当社が負担し、発電した電気をお客さまに使用していただきながら、月々のサービス料を発電量に応じて当社にお支払いいただくという仕組みです。また、太陽光パネルの設置面積は工場立地法が定める緑地・環境施設面積に算入でき、さらに屋根にパネルを取り付けることで、夏季の工場内の暑熱対策にも効果が期待できます。CO2削減へのニーズが高く、かつ太陽光パネルを設置しやすい折板屋根である工場や倉庫への導入事例が多いほか、学校施設や物販企業さまからもお問い合わせをいただいています」
また、ガスコージェネレーションシステムや蓄電池などと組み合わせることで、地震や台風といった大規模災害や停電時など電力供給がひっ迫する状況でも事業継続・早期再開が可能で、BCP対策の強化につながる点もメリットの一つです。
さらに、太陽光による発電だけでは電力が不足する場合、再生可能エネルギーによる電力(※)を供給する電気料金メニュー「D-Green」によって補うことも可能です。必要な電力をD-Greenで賄うことで、事業所における電力のCO2排出量をゼロにすることが可能になるのです。
※火力や原子力等を含まない再生可能エネルギーにて発電された電気に、非化石証書(再エネ指定)を用いることで、実質的に再生可能エネルギー100%の電気とするものです。
中山さんはこれからもD-Solarをはじめお客さまにとって最適なサービスの提案を通じて、地球環境に貢献していきたいと語ります。
「D-Solar は2021年度から蓄電池とAIを組み合わせ、効率よくエネルギーマネジメントができるシステムの提供開始を予定しています。私たちはエネルギーインフラ企業としての強みを活かし、D-Solarの提案に加え、D-Greenによる環境価値の高い再生可能エネルギー由来の電力供給、蓄電池を使ったBCP強化、さらには水処理・バイオガス技術を用いた脱炭素化のサポートや、空調など設備全体のエネルギーマネジメントまで担うことができます。それが「 」シリーズです。長年培ってきた総合的な技術によってお客さまの課題をトータルに解決すると同時に、社会課題の解決にも貢献していくことが未来を切り拓くと考えています」
私にとっての挑戦とは
「いつもお客さまと話すときに心掛けているのは、お客さまのご希望の『一歩先の提案』をするということです。QBB六甲バターさまに提案していた時は、まだ菅首相の温室効果ガス排出ゼロの目標が発表される前でしたが、『近い将来、必ず世の中全体が環境をより重視する方向に向かいます』と力を込めてお伝えしました。そのようにお客さまが現時点で悩まれていることの一歩先を見据えて、世の中の変化に合わせた最適なご提案をしたいと常に考えています」
Daigasエナジー株式会社 兵庫産業エネルギー営業部中山 翔太
入社当初は開発部署に所属し、ガスエンジンやガスタービンによる発電の際の熱を活用するコージェネレーションシステムの研究・開発に携わる。2015年、Daigasエナジー株式会社 兵庫産業エネルギー営業部へ。D-Solarをはじめ様々なサービスの提案を通じて、お客さまの課題解決に取り組んでいる。