未来への挑戦者たち

24.07.05

日本企業初!インド都市ガス事業への大いなる挑戦と夢大阪ガスが参画する海外エネルギー事業展開の今と、これから

取材・執筆:Daigas STUDIO 編集部

Osaka Gas India Private Limited(OGINDIA)

山田やまだ あおい(左)阿曽沼あそぬま 飛昂 ひだか(右)

経済成長を続けるインドにおいて、今後の普及が期待されているエネルギー・都市ガス。そのインフラ整備と家庭用・工業用ガスの供給、さらには再生可能エネルギーの事業開発をも視野に、大阪ガスは2022年、OGINDIA を設立した。その挑戦はインドにどのように貢献できるのか。Daigasグループにどのような未来をもたらすのか。二人の挑戦者たちが、今とこれからを語った。

CHAPTER

01

初めての国、新しい市場への挑戦

事業エリア図

インド政府は、経済成長に伴うエネルギー需要増大と低炭素化・大気汚染対策のため天然ガスの利用拡大を推進。海外エネルギー事業の拡大を目指す大阪ガスはインド都市ガス事業への参画を2019年から検討していた。そのメリットは?リスクは?――都市ガス事業(主に都市部で導管によりガスを供給する事業)を熟知している大阪ガスだけに、慎重に検討がなされた。一方で、海外で都市ガス事業に参画できる機会は少ない。インフラ整備は自国の企業が行うことが多いからだ。その点インドは外国企業にも参画の道が開かれていた。大阪ガスが日本で培った都市ガス事業の知見を活用し、天然ガス利用拡大による南アジアの環境及び社会貢献に寄与できる。進取の気性で新たな価値の創造を目指す大阪ガスにとって、またとない好機だった。
2021年12月、大阪ガスは大阪ガスシンガポール(株)を通して、エネルギーインフラを開発するシンガポールのAG&P CGD HoldCo SPV3(Singapore)Pte. Ltd. に出資。2022年5月にはOGINDIAを設立し、インドの都市ガス企業AG&P LNG CGD HoldCo Pte. Ltd.(以下、AG&P)への事業参画を開始した。事業エリアは、インド南部を中心に、日本の面積の3/4に相当する広大なエリアだ。これは、日本企業として初めてのインド都市ガス事業への参画だった。

さらに2024年4月、AG&PとThink Gasの合併に伴い、住友商事(株)及び(株)海外交通・都市開発事業支援機構とともに日系コンソーシアムを通じて、大阪ガスとしては2回目となるインド都市ガス事業への出資を実施。既に事業参画していたインド南部の郊外を中心としたAG&Pの事業エリアに、新たに北中部の都市部を中心としたThink Gasの事業エリアが加わることで、事業エリアは約32万㎢(インド国土の約1割、日本国土の約9割相当)へと拡大し、インドにおける中長期的な収益基盤の確立を目指すこととなった。

CHAPTER

02

相手を理解し、誠意と使命感をもって
インドと向き合う二人の挑戦者たち

インタビュー

OGINDIAとして果たすべきミッションは、AG&Pの事業拡大サポート(インフラ整備や交通用向け天然ガスステーションの普及)をメインに、将来的な事業開発の可能性を探ること。OGINDIAのオフィスはデリーに、AG&Pのオフィスはチェンナイにあるため、それぞれに駐在員が派遣された。
デリーでのオフィス管理、再エネの新規事業開発を担当するのは山田 葵。
「海外で仕事がしたいと希望していたところ、アジア開発部への配属となりました。そこでインドへの出資プロジェクトに検討段階から関わらせてもらい、現地へ赴任。入社4年目で希望が叶えられて大きなやりがいを感じています。OGINDIA会社設立に関して社内規程整備からオフィスセットアップまで立上げに関することを全て担当しました。大変なこともありましたが、インドの人々とコミュニケーションを取りながら粘り強く進められました。再エネに関してはインドのエネルギー市場について情報収集し、大阪ガスとしてどのような戦略を取るべきかを絞り込んでいる段階です」(山田)。
チェンナイのAG&Pと密に現地でコミュニケーションしながら、都市ガス事業のアセットマネジメントを担当するのは阿曽沼 飛昂。
「AG&Pが進める業務に対して、計画通りにできているかをチェックする進捗管理。さらに、より良いものをつくるために大阪ガスのノウハウを提案することもあります。常にAG&Pの方々とコミュニケーションをしっかり取ることが大切になります」(阿曽沼)。
日々の業務を進める上で、日本とインドとの考え方の違いにも配慮しているという。
「その期日までに仕上げるといった時間に対する意識などに少し違いがあり、スケジュールを守るためにどう進めればいいか、相手の意見をしっかりと聞きながら、常に一緒に考えるように心がけています」(山田)。
誠心誠意をもってコミュニケーションを取りながら相手を理解し、常にポジティブに業務を進める山田と阿曽沼のこれらの配慮、仕事への取り組み方について、現地のインド人スタッフはこう評している。
「山田さんはどんな時でも話を聞いてくれて、問題解決に積極的に取り組んでくれます。私が慣れていなかったパワーポイント資料の作成も、山田さんが一から丁寧に教えてくれました」(OGINDIAの同僚Nikita Madaan氏)。
「阿曽沼さんは技術面からマーケティングや財務にいたるまで幅広い知識とリーダーシップがあり、AG&Pの多くの人々との信頼関係を築いています。私にとっても一緒に仕事をすることは有意義な経験です」(AG&PのCFO Nishant氏)。
その一方で、インドから学ぶこともある。業務のスタートダッシュの速さは目を見張るものがあるという。
「インフラ整備の現場で働く施工技術者の養成プログラムをつくる際も、大阪ガスが培ってきたノウハウを活かし、安心安全を最優先に考えながらも1カ月でプログラムが完成、さらに1カ月で約100人もの技術者を育成しました。インドには、限られたリソースの中でも、創意工夫を凝らし目標を達成することを重視する『ジュガール』というマインドがあり、そのマインドを目のあたりにして衝撃を受けました。現在もスピード感を重視しつつも、安全性と信頼性を常に最優先に考え業務を進めています」(阿曽沼)。

CHAPTER

03

踏み込め!
日本国内の契約件数の領域へ!

OGインドデリーオフィスの従業員との写真

現在、AG&Pとの信頼関係を築きながら、都市ガス事業は順調に進んでいるという。その取り組みの一つである交通用向け天然ガスステーションは、天然ガス自動車の利用が多いインドにおいて特に需要が高まっている。
「天然ガスステーションは、設置して1カ月後には行列ができるほど普及しています。インフラ設備も着々と整備が進んでいます。私の仕事としては、相手に対してただ指示を出したり、情報を欲しがったりするのではなく、一緒に事業を考えていくことが大切です。例えば施工時の事故防止策などで、大阪ガスのノウハウが役に立つことを理解してもらえればコミュニケーションもスムーズになり、相手もいろんなことを教えてくれます。インドの人々もまた事故防止への意識が高く、相互理解のしやすさにつながっています」(阿曽沼)。
まず「ガスを通す」、その先に見据える目標は「ガスを売ること」だ。
「インドでは交通用のマーケットが大きくなっているので、将来的には、当社の国内ガス販売量の半分を超える規模の事業とすることが目標。また、家庭用のガス販売量を増やすべく、ガス給湯器を普及させるために、インドの家庭に合わせた給湯器設置のマニュアルづくりをしています。日本の面積の約9割相当にも相当する広大なエリアで、最終的には日本国内の契約件数に迫るという大きな目標を達成したいと考えています」(阿曽沼)。
日本にはない巨大な市場開拓の可能性が、インドにはあると阿曽沼は確信している。

CHAPTER

04

インドに「第二の大阪ガス」をつくる

チェンナイのAG&Pのオフィスに駐在していた阿曽沼は2023年よりデリーへ異動。都市ガス事業を軌道に乗せつつ、山田との連携による再エネ新規事業開発も視野に入れ、二人の挑戦は新たなステージを迎えようとしている。
「距離がなくなって阿曽沼さんと一緒に業務に取り組める機会が増え、できることの幅が広がってきました。これからさらに新しいことに挑戦していきたいと思います」(山田)。
「大阪ガスの本社で将来予測の説明をすると『ここまで右肩上がりの成長ができるのか』と驚かれます。現在、ガス販売量が毎月10%も増えている状況で、5年後、10年後にはどんな世界が待っているのか、夢が広がります。今後さらなる事業拡大を行いながら、インドの発展及びDaigasグループの“ミライ価値”の創造(※)に寄与していきたいと考えています」(阿曽沼)。
二人の大いなる挑戦と夢は、これからも続いていく。その先には「第二の大阪ガス」、いや、それをも上回るDaigasグループとしての新たな力、想像を超える巨大なビジネスが誕生しているのかもしれない。
※詳細はDaigasグループ中期経営計画2026 「 Connecting Ambitious Dreams 」をご参照

未来への挑戦

私にとっての挑戦とは

低・脱炭素社会の実現へ真摯に向き合い、自分にできる貢献を続けること(阿曽沼/右)
自分の軸を持ちつつ、周囲の協力を得ながら、誰も経験したことのない領域を切り開いていくこと(山田/左)

Osaka Gas India Private Limited(OGINDIA)

阿曽沼 飛昂

2015年入社。エンジニアリング部で技術開発に従事した後、2019年から資源海外事業部に。アジアの投資案件に関わり、2022年夏からインドへ赴任。現在デリーにて、既存出資案件の管理、新規事業開発を担当。

山田 葵

2019年入社。資源海外事業部でアジアエネルギー事業への投資業務に従事。AG&Pインド都市ガス事業へ検討初期段階から関わり、2022年にインド現地へ赴任。主にデリーでのオフィス管理、再エネの新規事業開発を担当。

「テレビ大阪」のニュースで紹介されたOGINDIAの事業リポートはこちら(外部リンク)https://www.youtube.com/watch?v=eT0N0GeqVhc

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