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プラントマテリアル

安全性・経済性に優れる「大容量PCLNGタンク」

概要

 大阪ガスの大容量PC(プレストレストコンクリート)LNGタンクは、高い安全性を有するとともに、敷地の有効利用や大容量化スケールメリット等により、LNGタンクの大幅なコストダウンを可能にします。

PCLNGタンクのコンセプト

 PCLNGタンクは、従来の金属二重殻式LNGタンクと防液堤を一体化した、安全性の高いLNGタンクです。

※PCとは?
PCとは、Prestressed Concreteの略で、予め圧縮力(プレストレス)をかけたコンクリートの意味です。 防液堤コンクリートに圧縮力を加えることで、万一の漏液時の液圧により発生する引張力に抵抗します。

PCLNGタンクの特長

  • 1.高い安全性(二次容器の強化)
     防液堤とタンク本体が一体化した、安全性の高いLNGタンクです。
  • 2.土地の有効活用(大容量化が可能)
     外槽と防液堤の間のスペースが不要となるため、敷地の利用効率が高められ、同じ敷地面積でより
     大容量化が可能となります。
     例えば、大阪ガスの18万m3PCLNGタンクは、従来の7.5万m3金属二重殻式LNGタンクと同じ面積の
     敷地に設置されており、土地の利用効率が約2.5倍と飛躍的に向上しています。
  • 3.経済性(合理的な構造)
     タンク本体と防液堤の基礎が共有され、また、外槽が自立式からPC防液堤に取り付けられた薄板
     ライナ構造となること等、合理的な構造となります。

PCLNGタンクの構造

  • 1.内槽
     LNGを貯蔵する内槽は、耐震性に優れたドーム屋根付平底円筒竪形タンクであり、内槽材料には
     ‐160℃の低温において十分な強度と靱性を有する9%Ni(ニッケル)鋼等が使用されます。
  • 2.保冷材
     LNGの蒸発を抑制するための保冷材として、内槽の側部及び屋根部の周囲には粒状パーライトが
     充填され、防湿のため窒素ガスが封入されます。また、底部には十分な強度を有する保冷材が
     敷設され、内槽を支持します。
  • 3.外槽(外槽屋根、外槽ライナ)
     保冷材を保持し、窒素ガスを密封する外槽は、側部及び底部はそれぞれPC防液堤及び基礎版に取り
     付けられた金属製薄板ライナ構造で、またドーム構造の外槽屋根はPC防液堤の頂部に固定されてお
     り、内槽と併せて二重殻構造になっています。
  • 4.PC防液堤
     防液堤には、万一の内槽からの漏液時に液圧が作用した場合でも液密性を確保できるように、円周
     及び鉛直方向のPC鋼材により圧縮力が導入されたプレストレストコンクリートを採用しています。
  • 5.冷熱抵抗緩和材(PUF)
     PC防液堤の内面には、万一内槽からLNGが漏洩した場合に、冷熱抵抗緩和材としての役割を果す
     PUF(ポリウレタンフォーム)を設置しています。
  • 6.基礎版
     鉄筋コンクリート製のスラブ構造で、支持層に打ち込まれた鋼管杭により支持されています。
  • 7.底部ヒーター
     基礎地盤の凍結を防止するため、タンク底部を一定温度に保持する温水(ブライン)ヒーターが基礎
     版内に設置されます。

国内外をリードする大阪ガスの大容量PCLNGタンク技術

大阪ガス(株) 泉北製造所第二工場(南地区) 大阪ガス(株) 姫路製造所

日本初、世界最大容量のPCLNGタンク
 大阪ガスは、土地の有効活用と建設費のコストダウンを目的に、LNGタンクの大容量化を図りつつ安全性と信頼性に優れた新しい構造のタンクとしてPCLNGタンクを開発してきました。そして1993年に日本で初めて、建設当時世界最大容量となる14万m3PCLNGタンクを完成させました。
 2000年には、さらに大容量化した18万m3(建設当時世界最大)PCLNGタンクを実現しています。

PCLNGタンク技術や大容量化技術の図

さらなる新技術の開発・実用化

 PCLNGタンクの開発、建設及び運用を通じて培ってきたPCLNGタンク技術を基盤とし、さらに最新の設計・施工技術を導入・開発することにより、大容量化、建設コストの低減、建設工期の短縮を可能にしています。


  • 1.大容量化(23万m3)への取組み
     大阪ガスは、2008年にLNGタンクの設計安全率が合理的に見直されたことを受け、これまでの
     LNGタンクに関する知見・経験をもとに、安全性を確保しつつ、建設当時(2015年)世界最大
     容量のPCLNGタンク(23万m3)の建設を実現しました。
  • 2.新材料7%Ni‐TMCP鋼の開発、実用化
     LNGタンク内槽材料には、レアメタルであるNi(ニッケル)を9%含む9%Ni鋼が40年以上用いられて
     きましたが、このNiの含有量を低減することによる材料コストの削減やさらには貴重な地球資源の
     保護を目指し、製鋼方法にコンピュータにより高度に制御されたTMCP(Thermo Mechanical
     Control Process:熱加工制御)技術を適用した新材料7%Ni‐TMCP鋼の開発を完了し、大阪ガスの
     LNGタンクへの適用しました。
  • 3.国内初のスリップフォーム工法によるPC防液堤構築の実現
     国内で初めてスリップフォーム工法によるPCLNGタンクの防液堤の構築を実現しました。
     (スリップフォーム工法:型枠と足場が一体となった装置をジャッキで上昇させ、コンクリート打設
     や鉄筋等の組み立てを連続的に行う急速施工法)
     高い安全性が求められる防液堤に対し、耐久性への影響の検証や、施工精度を確保する方法の確立等
     を行い、品質を確保した上で、従来9カ月かかっていた防液堤の構築をわずか20日間で完成させる
     とともに、防液堤構築費を20%削減しました。

さらなる新技術の開発・実用化

 これまでのPCLNGタンク技術や大容量化技術等が認められ、大阪ガスはPC技術協会協会賞、高圧力技術協会技術賞、日本ガス協会技術大賞、日本エネルギー学会進歩賞(技術部門)、日本コンクリート工学会技術賞、土木学会技術賞、エンジニアリング協会エンジニアリング功労者賞といった数多くの賞を受賞しています。

国内のLNGタンクのトレンド
(2020年7月現在、建設中含む、縦置円筒形貯槽除く)

 PCLNGタンクは、その高い安全性、土地の有効活用性、経済性が認められ、日本で47基のタンクが建設(建設中含む)されています。
 また、スケールメリットを活かせる大容量タンクが主流になってきています。

国内のLNGタンクのトレンド

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