バイオガス
炭鉱で大気放散されているメタンガスを
有効利用する「低濃度炭鉱メタン濃縮技術」
概要
従来、石炭採掘中の作業員の安全確保のため、石炭層内より外部に抽出される炭鉱メタンガス(Coal Mine Methane:CMM)のうち、メタン濃度が30%以下のガス(以下、低濃度CMM)は有効利用できず大気に放散されており、地球温暖化の一因となっています。大阪ガスはこれら未利用となっている低濃度CMMを、ガスエンジンやガスボイラーの燃料として有効利用し、省エネルギーおよび地球環境保全を推進するため、低濃度CMMの濃縮技術の開発に取り組んできました。
特徴
- 1.大阪ガスが保有する空気とメタンの混合ガス中から選択的にメタンを吸着する材料技術を活用し、低濃度CMM中のメタン濃縮を実現しました。
- 2.大気に放散されている地球温暖化への影響が二酸化炭素の21倍であるメタンの有効利用を可能にする技術であり、商用標準機(CMM流量2,000m3/h)1台の導入により、二酸化炭素に換算して年間約4万t-CO2の削減が見込めます。
本技術により、今まで大気に放散されていた低濃度のCMMを様々な用途に使用することが可能となります。例えば、ガスエンジン発電、ガスボイラーの燃料や、民生・工業用の都市ガスとして、利用することが可能となります。
これまでの成果と今後の取り組み
平成19年、20年度に、中国企業を含む5社で共同研究コンソーシアムを構成し、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の研究協力事業「低濃度CMM(炭鉱メタンガス)の有効利用に向けたメタン濃縮技術の開発」を受託しました。炭鉱メタン濃縮実証試験設備(CMM流量1,000Nm3/h)を中国の阜新炭鉱(遼寧省)に建設し、実証試験を行い、炭鉱から抽出される低濃度CMMを濃縮することに成功しました。
現在、技術ライセンス先企業を通じて、事業化を進めています。
パイロットプラントの写真
商用標準機の仕様
処理能力 | 2000 Nm3/h |
---|---|
濃縮性能 | 25%以上 |
メタン回収率 | 90%以上 |
操作性 | ワンタッチ自動運転 |
省エネルギー | 約3千kL/year |
温室効果ガス削減 | 約4万t-CO2/year |
※濃縮性能(%)=製品ガスメタン濃度-原料ガスメタン濃度
※メタン回収率(%)=(製品ガスメタン濃度×製品ガス積算量)/(原料ガスメタン濃度×原料ガス積算量)
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