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フードサイエンスラボ ~第2号~

第2回 吸水に温度が関係ある!?

第2号

FOOD SCIENCE LABORATORY

フードサイエンスラボ

2

ご飯を炊く時、お米を水につけますよね。そのとき、お米は水をぐいぐい吸い上げています。そして、その吸水具合は、温度と時間によって異なってきます。ここでは、水の入り方や炊いた時のお米の内部構造の変化を見ていきましょう。

漬け置き時間と吸水量

冬場や冷蔵庫を想定した5℃の水と、夏場を想定した25℃の水にお米を浸して、それぞれのお米が水を吸う量(吸水量)を比較した実験データが図2です。

どちらも2時間経過した時点ではほぼ同じ吸水量ですが、水の温度が冷たいほど、ゆっくりと時間をかけて水を吸っています。吸水の過程に大きな違いがあることが、実験により判明したのです。

漬け置き時間と吸水量

水の分布

では次に、お米に水が入っていく様子をMRIで可視化してみましょう。図3は10℃の水に浸した場合の、お米の断面図です。黄色~黄緑色の明るい部分に水が存在しています。時間が経つにつれて徐々に黄色が増えていき、60分経った時点でほぼ全体的に黄色~黄緑色になって、水が行き渡っていることがわかります。冷たい水に1時間以上漬けることで、ようやく水がしっかりと入るということです!
さて、漬け置き時間で水の入り具合が違うことがわかりましたが、これが一体どのように炊飯に影響してくるのでしょうか?

10℃でのお米の浸漬経過
イラスト

炊飯への影響は?

10℃の水に20分と60分漬け置きしたお米でご飯を炊いてみると、60分のご飯はふっくらとしている一方、20分はパサッとした食感でした*。また、クリープメーターという装置を使って、ご飯の硬さを測ったところ、60分の方がご飯の中心部まで柔らかいことも分かりました。

この違いはなぜでしょうか?その理由を探るため、ご飯のミクロな構造の違いを電子顕微鏡で見てみましょう。
図4は炊飯後のご飯の内部を5000倍という高倍率で観察した写真です。どちらも蜂の巣のような構造(ハニカム構造)をしていることが分かります。このハニカム構造は、水とお米の化学反応(糊化といいます)が十分に進むことでできるのですが、60分のご飯は20分に比べてしっかりした大きなハニカム構造ができており、広い範囲で観察されました。一方、20分は一部でしか観察されませんでした。

これは、図3のMRIで見たように、お米内部に水が十分に行き渡っているか否かが、糊化の進み具合に影響を与えているのではないかと考えられます。
現時点では、こういった構造の違いが食感やおいしさに与える影響、そして炊いたご飯を保温したときに与える影響などについて、少しずつ分かってきたところです。私たちが、感覚や先人の知恵として知っていたことが、少しずつ科学的に実証され始めてきているのです。

今後、『炊き上げ』や『蒸らし』のプロセスについても研究を進め、おいしさと構造の相関を解明していく予定ですので、どうぞ続報をご期待ください!

  • * 丹波産コシヒカリで炊飯した場合の感想。お米の種類や炊飯方法によって若干結果は変わります。
炊飯後のお米の内部構造(5000倍)

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