燃料電池
IoTを活⽤したエネファームの次世代品質管理活動
概要
2016年度以降、エネファーム(typeS)において、IoTを活用して機器の情報を遠隔で収集し、データ分析技術を駆使した品質管理を行うと共に、各現場での故障低減を図っています。
次世代品質管理活動について
私たちの次世代品質管理活動で目指す姿は『故障0件目からの品質改善着手』『お客さま宅未訪問での市場機品質向上を実現』『AI技術による故障予兆ロジックによる故障未然防止』『次期モデル開発時点からの早期故障潰し込み』です。
2016年より常時接続されたエネファーム市場機の運転データをリアルタイムで情報収集、監視が可能となり、製造ばらつきによる初期故障などを早期に検知、対策検討を行い、お客さま宅へ訪問することなく遠隔で機器制御のレベルアップ、品質改善を実現してきました。
また、常時接続から取得できるビックデータとAI技術を用いて、人の目では気づくことのできないような、健全な運転データからのズレを検知する故障予兆ロジックを開発しました。これにより故障が顕在化する前に、原因究明の着手、故障多発性の把握が可能となっています。
現在ではこのロジックを次期モデル開発段階で活用することで、品質担保、品質向上に繋げています。
IoT接続システム(常時接続)がある場合とない場合の市場対策について
常時接続がある場合は、故障の増加傾向を把握すると同時に原因調査・対策準備に取り掛かることができ、市場機全てのデータも確認可能なため、対策リリースまでの期間を短くできます。
加えて、お客さま宅訪問による巡回が必要であった場合でも、遠隔での暫定対策を実施することで早期に故障抑制をおこなったうえで、巡回が開始できます。
一方、常時接続がない場合は、故障把握と原因調査・対策準備への取り掛かりが同じであったとしても、その後の故障の増加傾向の把握に時間を要し、対策準備が遅れることで市場での故障が多発している状態で、市場巡回を開始することになります。
このように、常時接続があれば、故障の増加傾向をビックデータにて確認、早期に原因究明と対策リリースの実現が可能となりました。
故障予兆ロジックについて
故障予兆は特定の多発故障がある過去機種の場合は、特定故障との相関の強さから判断する教師あり学習と呼ばれる仕組みと、健全データの誤差、ズレから判断する教師なし学習の2つで運用しています。
教師あり学習による故障予兆については、常時接続にて運転データを監視し、故障予兆が出た場合は、即座にメンテ対応や遠隔による改善を行います。
教師なし学習による故障予兆については、予兆を検知したデータの分析、原因調査を行い異常の有無を判断し、対応方法を検討し、品質担保を行っています。
教師なし学習による故障予兆事例(流量計の誤計測)
常時接続で取得できる健全な市場機運転データから健全性診断モデルを作成し特異なデータとして、計測値のズレをエラー発報前に検知を行い、部品回収・調査を行った結果、流量計への異物付着が原因であることが判明しました。
その後、市場でエラーが多発する前に遠隔配信し、異物付着を軽減させることで未然に故障多発を防止することができました。
活動による効果と今後の取り組み
16年機から常時接続を開始し、遠隔配信での故障抑制を行い、故障予兆による品質管理活動を行ってきた結果、現行機種では一般の給湯器並みの故障率を実現できました。
現在は、これらの取り組みを次期モデルの開発段階で取り組んでおり、発売前に故障の潰し込みを行い、発売後も故障傾向把握から遠隔対策の繰り返しで、故障率の超低位安定を目指していきます。
また、現在はエネファームに対して活動を行っていますが、給湯器に関しても取得できるデータから故障予兆を検討中です。
将来的には積極的なメンテナンスを行うことで、ご不便の最小化、メンテナンス業務負荷の平準化に繋げていきます。
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