シミュレーション・データ分析
電力事業のETRMシステムの開発
概要
電力事業に係る取引管理とリスク管理を行うためのETRM(※1)システムを開発しています。
※1 Energy Trading and Risk Managementの略、電力・燃料(石炭、石油、ガス等)に係る各種取引とリスク管理のこと
目的
近年の燃料価格や電力市場価格の変動の大きさを受け、電力事業におけるリスク量は増大しています。このような状況を受け、経済産業省では、小売電気事業者・発電事業者を対象に、市場リスクマネジメントに関する指針(※2)を公表しました。
当社は発電と小売双方の電気事業者として、これまでもリスク量の定量化・可視化に取り組んでまいりましたが、複雑化する取引への対応の難しさ、作業コストの増加、作業の属人化等の課題が発生していました。当社のリスク管理をさらに高度化するため、当システムの開発を実施しました。
※2 地域や需要家への安定的な電力サービス実現に向けた市場リスクマネジメントに関する指針(2022年3月31日改定)
ETRMシステムの機能
リスク管理機能、取引情報管理機能、オファー管理機能の3つの機能にて構成されています。リスク管理機能では、各種インプット情報を元に、電力取引のリスク量(期待収支・収支変動額など)を算出します。オファー管理機能では、メールや取引所取引情報から、他社が希望する取引条件(オファー)を情報収集・管理し、当社が希望する取引条件との照合を行います。取引管理機能では、成約した取引情報を登録し、リスク量計算のインプットにするとともに、与信管理や精算金額の算出・管理を行います。
ETRMシステムの機能イメージ
※3 取引について、数量や価格が固定している数量と変動し得る数量を明らかにし、将来の燃料や電力の市場価格の変動影響を受ける量を定量化したもの
※4 EaRはEarning at Riskの略、過去の実績に基づき、将来の市場価格の確率分布を想定し、自社にとって不利な方向に価格が変動した場合にどの程度の損失が生じうるかをその確率とともに定量化したもの
効果
電力取引のリスク量を算出可能となり、燃料価格や電力取引価格の変動等による収支変動リスクの管理、レポーティングをより容易に実施できるようになりました。今後は、取引管理とリスク管理の高度化を目指して、さらなるシステム改良を進める予定です。
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