(参考情報)CO2排出量削減効果の評価
「気候変動対策」については、サステナビリティレポートをご覧ください。
CO2排出削減効果の適切な評価方法について
電気の使用量を減らすことによる
CO2削減効果について
電気の使用に伴うCO2排出実績は、発電所で排出されたCO2を使用者が排出したものとみなして算定されます。電気の使用によるCO2排出量の計算には、一般的に購入電力の全電源平均排出係数が用いられますが、使用者が省エネルギーなどの結果、電気の使用を削減した場合のCO2削減効果は、電力需要減少によって、年間の発電量に影響が生じる電源(マージナル電源)の係数を用いて評価する必要があります。
CO2削減効果の適切な評価方法について
日本におけるマージナル電源とは
日本の電力は原子力、水力、火力の各発電所から主に供給されています。原子力発電は、定期検査以外は一定運転とされ、水力発電は、降雨量、降雪量によって年間発電量が変動します。火力発電は、需要に応じて発電量が調整されるため、火力発電がマージナル電源と考えられます。
■ 電源別発電パターンイメージ(東日本大震災前)
削減されるCO2の算定式
電気の使用を減らした場合のCO2削減量は、マージナル電源のCO2排出係数(マージナル係数)である平均火力電源係数を用いて以下の式で算定することが適切です。
-
※ 出典
地球温暖化対策計画(2021年10月閣議決定)
2013年度の火力電源平均係数:0.65kg-CO2/kWh
2030年度の火力電源平均係数:0.60kg-CO2/kWh
全電源平均係数とマージナル係数
一般的に、電気の使用に伴うCO2排出量の計算には、原子力、水力、火力の全電源の平均CO2排出係数(全電源平均係数)が用いられます。しかし、CO2削減効果の算定に全電源平均係数を用いると、電力需要の増減に影響されない原子力、水力の発電量も減ったとみなすことになるため、マージナル係数(日本では火力発電所のCO2排出係数である火力電源平均係数)を用いて評価することが適切です。
これら2つの係数値として2030年度の値(上記出典)を用いた場合を以下に示します。全電源平均係数による評価では、太陽光発電、風力発電、バイオマス発電などの新エネルギー導入による温暖化防止効果が過小評価されてしまう可能性があります。
■ 全電源平均係数とマージナル係数
全電源平均係数 | マージナル係数(火力電源平均係数) |
---|---|
0.25 kg-CO2/kWh |
0.60 kg-CO2/kWh |
■ 全電源平均係数を用いた場合のCO2削減効果の
過小評価例
CO2削減効果算定の国内外での取り扱い
購入電力を減らすことによるCO2削減効果は、マージナル係数(日本では火力電源平均係数)を用いて算定する方法が、国際的に標準的な考え方です。国連の京都議定書に基づくCDM(クリーン開発メカニズム)や、国際的な標準規格であるGHGプロトコルの「系統電力にかかわる対策による温室効果ガス削減量算定ガイドライン」でも、この考え方が示されています。
また国内においても、政府の省エネルギーに関するガイドライン等に、この考え方が記載されています。
マージナル係数(火力電源平均係数)が
採用されている行政資料
地球温暖化対策計画(2021年10月閣議決定)
2013年度の全電源平均係数:0.57kg-CO2/kWh、火力電源平均係数:0.65kg-CO2/kWh
2030年度の全電源平均係数:0.25kg-CO2/kWh、火力電源平均係数:0.60kg-CO2/kWh
[参考]
中央環境審議会地球環境部会 目標達成シナリオ小委員会中間取りまとめ(2001年)
全電源平均係数:0.36kg-CO2/kWh、火力電源平均係数:0.69kg-CO2/kWh
環境報告ガイドライン(2012年度版)環境省 平成24年4月
全電源平均係数:0.36kg-CO2/kWh、火力電源平均係数:0.69kg-CO2/kWh
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