材料開発
インフレーション成形が可能なフィルム用ポリ乳酸系樹脂
概要
これまでDGGではポリエチレンガス管廃材とPETボトル廃材を複合した新しいリサイクル樹脂材料を開発してきました。
この技術を応用して、バイオマス(植物)由来材料として注目されているポリ乳酸の改質を行い、ポリ乳酸単独では成形できなかったごみ袋の製造に成功しました。
この技術により、ポリ乳酸の農業用生分解マルチフィルム、コンポストバッグなどへの適用が可能になります。
また、将来的には一般のポリエチレン製のフィルムの置き換えや、使用した袋を燃やさずにバイオガス化することも可能になります。
図1.ポリ乳酸を主原料とした袋
背景
近年、低炭素化材料として、バイオマス由来樹脂であるポリ乳酸が注目されていますが、ポリ乳酸は硬くて脆く、伸びないという問題点がありました。
特にごみ袋などの生産に用いられているインフレーションフィルム成形については、ポリ乳酸単体では、溶融時の粘度が低く、成形自体が極めて困難でした。
図2.硬くて伸びないポリ乳酸
フィルム用ポリ乳酸系樹脂の開発とその特徴
硬くて脆いポリ乳酸を、ポリエチレンのPETの相溶化などで、これまで培ってきた樹脂改質技術を応用して改質し、インフレーションフィルム成形が可能な樹脂を生み出しました。
この樹脂は汎用のインフレーションフィルム成形装置で成形することができ、高いバイオマス度や生分解性を維持しながら、柔軟で高強度なフィルムを製造することができます。
また、他の生分解性樹脂と比較すると、室温環境下では安定しており、保存可能期間を長くとれるため、フィルム製造のコストダウンも期待できます。
図3.ポリ乳酸の改質
図4.改質したポリ乳酸の物性(注:射出成形した試験片のデータ)
図5.改質したポリ乳酸のインフレーションフィルム成形
本樹脂を用いた生分解性フィルムの用途
本樹脂を用いた生分解性フィルムは、農業用生分解マルチフィルム、コンポストバッグとして、強度が高く、保存性と分解性の両立が可能であるという特徴があります。
一定期間内であれば、通常の室内環境下での保存安定性もよいので、将来的に一般的なポリエチレンフィルム(レジ袋、ゴミ袋、食品包装など)を置き換えることも期待できます。
また、当社で開発したバイオガス化技術を用いることによって、短時間で分解され、最終的にはバイオガスに転換することも可能です。このことにより、生ごみをごみ袋ごと投入することができ、バイオガスの量が増えます。加えて、ごみ袋の分別・処分が不要になり、省力化にもつながります。
図6-1/6-2/6-3.生分解性フィルム
図7.分解試験
今後の取り組み
上記の特徴を活かした生分解性フィルムの用途開発、および分解制御技術の開発を行うとともに、バイオマス度を100%に近づけ、より環境性の高い材料を目指します。
また、このポリ乳酸改質技術を用いて、バイオマス度100%で、フィルム用とは逆に硬質で耐熱性の高い材料を開発しています。
このように、従来は耐熱性・耐衝撃性・引張伸びの低さから、ポリ乳酸を使用することができなかった用途への展開を行うことによって、低炭素化社会に貢献していきます。
図8-1/8-2/8-3.耐熱性を向上した射出成形品
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